親愛なる物語たち

囲炉裏端の青い犬04

水色の月


今日も平凡な1日を、田舎にあるこの小さな家で過ごしたよ。
1日中、本を読んで過ごしたんだ。
青い犬はいつもの通り、お気に入りの囲炉裏端に張り付いた様に寝そべっていた。

部屋の明かりを全部消して、親愛なるベッドに潜り込もうとした時、窓から入って来た水色の光に気が付いた。
睡眠を少しだけ先の未来に押しやって、水色の光の正体を確かめようと縁側に出ることにした。

光がやってくる方向に目をやると、水色のまあるい月が浮かんでいる。
月の周りの暗闇は、墨汁を垂らしたみたいに滲んでいて、細い黒い雲が月の前をゆっくりと横切っていった。

「水色の月を見るのは初めてかい?俺は何度も見ているよ。」
青い犬は、いつの間にか縁側にやって来ていた。
「ここでは、年に何回か水色の月が見れるのさ。
 どうだい素敵だろう?
 神秘的だろう?
 水色の月は素敵なんだ。
 夜の空を常々無視していて、たまの挨拶もしなければ、無縁のものだけどね。」
青い犬は、水色の月をまるで自分の友人の様に自慢した。

「君はもっと色々なものに意識を向けた方が良いようだ。
 ここには、君がまだ気付いていない素敵なものが沢山有るんだからね。」

それから暫くの間、青い犬と僕は、水色の月と田舎の夜空を楽しんだ。
そして今日は、僕にとって特別な日になった。
 

 

writing : イヌノラジオ
painting : が~でん

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