親愛なる物語たち

囲炉裏端の青い犬02

言葉
 

青い犬と僕は、心と心で話すことができる。
言葉は使わないんだ。

言葉は便利だよ。
何千マイルも離れた人に自分の考えを飛ばすことができる。
見たこともない大勢の人に思いを効率的に伝えられる。
素敵な物語を書いてみんなを楽しませることも出来るからね。
それに簡単に嘘をつくことも出来る。

心と心の会話では、嘘なんてつくことが出来ない。
心で感じたことが、そのまま相手に入っていくからね。
不純物の混じっていない純粋な会話が出来るんだ。
だから、直ぐにお互いを心から信用出来て、親友になれるわけさ。

「人間の言葉が便利だって?
 そうかもしれないな。
 だけど、俺たちにはそんなものは必要ないだろ?
 むしろ邪魔だな。」

囲炉裏端の青い犬は首を少しだけ持ち上げ、黒目の位置を少しだけ動かして、僕を見た。

「俺が人間の言葉を話さないから、必然的に、君は俺と心を繋いだよね。
 その結果はどうだい?
 君と俺は、無二の親友になれたってわけだ。」

青い犬は、何時だって雄弁なんだ。

言葉を喋れないくせにね。

 


writing : イヌノラジオ
painting : が~でん

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