親愛なる物語たち

囲炉裏端の青い犬09

再生の日


今日は、何処にも行きたくないな。
冷たい雨が降っているからね。
そうだな、青い犬と囲炉裏の端で、惰眠を貪ることにしよう。
寝ているのか、起きているのか、自分でも分からない位にだらしなく過ごすのさ。
今日は、他の奴には会いたくないんだよ。

こんな日、青い犬は、大きくなる。
囲炉裏がとても小さく見えるくらいにね。
こんな日、青い犬の毛は、フサフサになる。僕が隠れることが出来るくらいにね。

僕は、青い犬の中に潜り込む。
解放された自由の中で、僕の感情や思考が、気持ち良く泳ぎだす。
ストレスや蟠りが、剥がれていくよ。
とても軽くなって純粋になっていくんだ。

再生した僕が、青い犬の中から現れた。
「やあ、気分はどうだい?」
優しい瞳の真ん中で、青い犬は問いかける。

冷たい雨は降り続いているし、怠惰なこの日を過ごしてるけれど、僕は確かに生まれ変わる。
「さあ明日は、何処に行って、誰に会って、何を交換しようか?」
青い犬は、囲炉裏に相応しい大きさに戻っていた。
 

 

writing : イヌノラジオ
painting:が~でん

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