親愛なる物語たち

囲炉裏端の青い犬06

季節に従順な犬

 

此処の天候は、季節にとても従順なんだ。冬は寒いし、夏は暑い。
梅雨には雨が多く降るし、雪はここぞという時に降り積もる。

囲炉裏端の青い犬は、暑さが苦手な様だけど、暑さに文句を言うことは無い。
暑さを和らげてくれる居間を吹き抜ける優しい風に、礼を言った。
凍える冬の寒さにも文句を言うことは無い。
自分を温めてくれる囲炉裏の炎を、褒め称えた。

「寒ければ、暖かいが嬉しい。 暑ければ、涼しいが有難い。
 雨が続けば、太陽が愛おしい。
 だから、俺は、此処の全てを愛することにしたのさ。
 何かが絶対的に素晴らしくて、何かが絶対的に駄目だなんてことはあり得ない。」

今日はとても冷える日だ。
囲炉裏の赤くて青い炎に愛しそうに視線を送りながら、青い犬は静かに顎を床に落とした。
 

 

writing : イヌノラジオ
painting : が~でん

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