親愛なる物語たち

大きなヒマラヤの小さな村の物語


知っているかい?
ヒマラヤに在る小さな村の素敵な話を。
鶴が自由に舞う村に住む、愛に溢れた村人たちを。
 


この村には、ヒマラヤを越えて鶴が毎年やって来る。
それは、遠い昔から繰り返されていること。
村人たちは、美しい鶴を誇りに思い、客人として、友人として扱い、代々優しく見守ってきた。
 


だけどね、ここにも例外なく近代化の波がやってきてた。
生活の利便性を上げる為、国はこの村にも電気を引こうとしたんだ。
普通なら、暮らしが便利になる事は大歓迎される筈だけど、この村の人たちは違ってた。
 


この美しい友人たちの為に、電気を引くことを拒んだのさ。
 


「もし村に電線を張ってしまったら、鶴たちを傷つけやしないか?」
「明るい夜になってしまったら、安心して過ごせないだろう?」
村民は自分たちの利益より、鶴たちの利益を選択したんだ。
 


人間は、自分たちの利益の為に、沢山の野生動物を犠牲にしてきたよね。
だけど、村民は別の道を選んだんだ。
 


鶴たちを愛する心は、国王の心を動かした。
国王はソーラーパネルをこの村に与えたんだ。
これで、電線は要らなくなった。
青空を美しく彩る鶴の生活は、今まで通りさ。
 


この美しい光景は、彼らの選択によって守られた。
鶴への友情と愛情から生まれた選択によって守られたんだ。
 


小さな国の小さな村は、大きなヒマラヤ山脈の中にある。
そこで生まれた小さな物語が、僕たち人間の大きな選択の変化に繋がれば嬉しいね。
 

 

birds : オグロヅル
photos:ひとみ
writing:イヌノラジオ