コンゴの森の冒険者ハンク

いい“沼”だな


あの匂いがプーンとぼくちんの鼻にもかすかに匂ってきた。
ゴリラのオトナオスの匂いだ。
いち早く、その匂いに気付いた優しい人は鼻がいいんだろうか~。

ピチャピチャ、<バイ>の方からなにやら音も聞こえてきた。
間違いない、<バイ>のそれほど遠くないところにゴリラがいるはずだ。
まだ姿は確認できない。

アンボロもさすがにその音に反応したようだ。
「ゴリラたちはまだ<バイ>の奥の方には行ってないな…」
アンボロはそう説明しながら、<バイ>へ向かって引き返す。

ぼくちんも優しい人もアンボロについていく…。
風向きはさっきからぼくらに向かっている。
匂いの持ち主であるゴリラが<バイ>の中にいることは確かだ!

ピチャピチャという音は<バイ>の中をゴリラが移動している音なのかな?
ぼくちんはさらに前進する。
また明るい<バイ>が目の前に開けてきた。

アンボロが指差す…。
「あー、ゴリラがいた~」
優しい人が覗く双眼鏡の方向をぼくちんも見る。
 


そこに見えたのは、首まで沼地につかっているオスのゴリラ!
泥水とはいえ、からだは水の中に浸かっている~。
直射日光の当たる中、気持ちいいのかなあ?

あたりが眩しいからか、ゴリラは目を細めている…。
でもまるで温泉に入って、すっかり心地よくなっているようにも見える。
「いい湯だなあ~」、あ、間違えた、「いい“沼”だなあ~」って。

writing : ハンク

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