コンゴの森の冒険者ハンク

逃げるな!


「ゴリラはバセレを節ごとにへし折って、片方の柔らかい部分をしがむんだ」
アンボロはその真っ直ぐな20cmくらいの一片を拾って説明する。
優しい人はそれを手に取って確認している。

一片の片方はやや黒ずんでいて、刷毛状になっている。
ゴリラはそこを歯でしがんで、中の髄でも食べたのかしら?
「甘い匂いがするな!」

優しい人が言う通り、ぼくちんもその匂いは確かめた。
ゴリラのおやつみたいなもんなのかな?
そうした節ごとに折られたものが何本かまとまって地上に転がっていた。

よく見ると、一本一本表面にたくさんのとげがある。
小さいけど、鈎状になっていて、痛そうだ!
分厚そうな手を持つゴリラはそんなことは気にもならないんだろうけど…。

同じ植物をまわりに探すと、なんだ…いくらでもある!
中には、スルスルとそのまま伸びて、数mの高さに及ぶものもある。
少ないけど、土から突き出した新芽もあった!
 


「ヴォヴォヴォーーーーー」
突然、ヤブの向こうから咆哮!
度肝を抜かれる…。

優しい人は踵を返そうとする。
気づけば5mくらい先のヤブの中に、ゴリラだ。
いまにもこちらに襲いかかってくるような勢いだ!

「逃げるな!」
アンボロは優しい人にささやく。
そして瞬時にその手首をつかんだ!

おとなしくしているんだ…ひるむんじゃない!
まずはその場でしゃがむこと…。
そして相手を見るな!

writing : ハンク

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