コンゴの森の冒険者ハンク

甘いひととき


その辺をうろうろしていたら、急にその人の両手に掴まれた!
ぼくちんのからだは掴まれたまま、地面を離れたぞ~。
その手の持ち主を正面で見た!

 



あー、以前、長屋の縁側でいろんな餌をくれた、あの優しい人だ。
しばらく会っていなかったなあ~。
でも懐かしいー。

そしてうれしい。
そーか、この人だから、格別おいしいカリカリくんを持ってきてくれたんだ!
優しい人と久々に眼と眼を合わせる~。

しばらくしたら地面におろしてくれたー。
今度はジェル状の餌をくれた。
こりゃ、たまんない、ぼくちんの舌はもうとろけそうだ!

この人がずっとぼくちんのそばに居てくれたらいいのに~。
しばらくこの人と離れていて、だれもぼくちんを構ってくれなかったからなあ~。
寂しい日々だったー。

森の中も素敵だ。
星もホタルも虫の音も!
昆虫のハンティングも楽しみながらやっていた。

でもあの人がいなくなってからのとき、心のどこかがぽっかり空いていた。
あんまりおいしいとはいえないカリカリくんは誰かがときおりくれた。
でもだれも撫でてくれなかったし、抱き上げてもくれなかった!

ぼくちんはジェルを舐めた後も、どれくらいのときをその人と過ごしただろう。
お腹がいっぱいになって、気付いたらうとうと眠り込んでいた。
赤い液体の入ったチューブとともに、もうその人の姿はなかった…。

writing : ハンク
illustration : ちくわ

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