コンゴの森の冒険者ハンク

草むらのポリフォニー


森の深淵を震わすエレレの響き。
極彩色に広がるさまざまなチョウチョのはばたきの音。
そして大空からときおり聞こえてくるヨウムの楽しそうな声。

夕闇が近づくころ、まわりはやがてそうした回りのざわめきが落ちついてる。
でもそこにあるのは完全な静寂ではない。
そこにはぼくちんにはこたえられない絶妙な合唱の始まりだ。

音は一箇所だけじゃない。
四方八方から聴こえてくる。
夜も帳を迎えると、そのすべての音が耳を包み込む。

ひとつポッキリの単調な音色じゃない。
複数の音が折り重なっている。
そして違う種類の音色とともに見事にポリフォニーをなしている。
 


その音がうるさいかって?
んん、ぼくちんにはその音は自然とからだとこころに染み入ってくるんだ。
折り重なる生命の息吹!

ぼくちんにはその音の主が誰であるか、知っているぜ。
昼間、草むらの中をぴょんぴょんと跳ねていくヤツラさ。
でもそいつらは夜になると、一斉にめくるめく音の世界を構築するんだ!

ぼくちんが昼間に追い回したコウロギやスズムシのようなヤツもいる。
ツユムシやトノサマバッタみたいのもいる。
ショウリョウバッタもその仲間にいるぜ。

ヤツラの音色がなんでそれほどまでに心地よいんだろう。
その秘密はいったいなんなのだろう?

writing : ハンク
illustration : ちくわ

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