コンゴの森の冒険者ハンク

道標となるエレレ


エレレレレレ~。
甲高くて、ちょっと金属音みたいな声。
地上近くの梢枝で鳴いていると耳がキンキンするくらいだ。

でも、森の中でその声を聴くと安心する。
もうすぐ水場が近い。
そうしたら森の中の澄み切った冷たい小川の水を飲めるんだ!

ただときどきその声は物悲しく聴こえてくる。
特に夕方の時間に近づくときかな。
何匹かの「エレレ」セミがまるでポリフォニーのように合唱しているときだ。
 


夏の終わりの少しずつひんやりしてくる朝夕の時間帯に聞こえるヒグラシ。
それに似た調べなんだ。
金切り声みたいだけど、でもだからこそ、そこに生命の物悲しさも伝えているみたい。

命をほぼまっとうして地上に落ちてしまったエレレセミ。
足をばたつかせている。
そこにあるはかない命。

ぼくちんも君たちの道案内で水にありつけた。
一生懸命、生きていてくれてありがとう。
自然はそうやって循環していくんだよね。

ぼくちんはその体を手で押さえる。
そして口を近づける。
むしゃむしゃ、ばりばり。

writing : ハンク
illustration : ちくわ

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