コンゴの森の冒険者ハンク
静寂な森 響き渡る虫の音
ぼくちんはときどき昼間、近くの森の中へ入っていく。
森の中での虫ハンティングは大好きだ。
倉庫のネズミ番の役目もないから、いくらでも楽しめるんだ。
それに森の中は過ごしやすい。
こんな赤道直下でもせいぜい気温も25度くらいかな。
湿度が高いのは仕方ないけど、ぼくちんはへっちゃらだ。
ジーーーと梢枝の遥か高い彼方から音がする。
きっとセミだろうな。
高い湿度の空間はさらにジトーっとさせるような音だ。
日中真っ盛りの時間帯に泣くこのセミの姿を見たことはないんだ。
夏まっさかりの時期に泣くアブラゼミみたいなもんか。
ぼくはその音を聴きながら森の中でウトウトし始める。
喉が乾いたので森の中の小川を探しに行こう!
森の風景はややこしいからいつも迷いそうになる。
でも大丈夫、水場はすぐにわかるんだ。
別のセミの声がする方角に行けばいいんだ。
さっきのアブラゼミみたいな鳴き声のセミとは違うセミ。
そのセミはいつも水場の近くで鳴くからその声を追えばいい。
そいつらの姿はぼくちんも見たことがある。
あんまり木の高い場所にはいないんだ。
音のする方を見るとそのセミは緑色のお尻を震わせている。
writing : ハンク
illustration : ちくわ